現在、より良い条件で融資を受けられる可能性がある場合、現在の事業資金の借入を他の金融機関に変更する、いわゆる「借り換え」を検討する方もいるかもしれません。
ただし、軽率な借り換えは資金繰りの悪化を引き起こすリスクも伴います。
そこで今回は、借り換えを行う目的やその際の注意点、金融機関ごとの事業資金の借り換えプランについて詳しくご紹介します。
ぜひご一読いただき、適切な選択をするための参考にしてください。
事業資金の借り換えはどのようなケースで行うべき?
借り換えとは、現在の融資先から他の金融機関や同じ金融機関内の別プランに変更し、そこで得た資金で既存の借入を返済する手法です。
例えば、現在の返済中の融資条件と比較して、他のプランや金融機関の方が有利な条件を提供している場合に借り換えを考慮するのも選択肢の一つです。
しかし、借り換えには一定のリスクも伴うため、事前に注意点をしっかりと把握することが重要です。
以下に、借り換えを行う際の目的と注意点について詳述します。
事業資金の借り換えを検討する主な目的
事業資金の借り換えを行う主要な目的は、資金繰りの改善を図ることにあります。
現在利用中の金融機関から別の金融機関へ切り替えることで、利率が低減され、支払い負担を軽減できる場合があります。
また、借り換えによって返済期限を延長できるケースも多いため、1年以内に完済する必要があった場合でも、他の金融機関に借り換えを行うことで返済期間を5年にまで延長できることもあります。
このように返済期間が長くなると、資金を確保しやすくなり、手元の資金に余裕ができるため、結果的に資金繰りの改善に貢献します。
また、資金繰りが安定している場合でも、借り換えにより追加の資金を調達することで、さらなる事業の拡大を目指すことが可能です。
事業資金の借り換えを検討する際の注意事項
事業資金の借り換えを検討する際には、以下のような点に留意する必要があります。
手数料の発生
借り換えを行う際には、現在の融資先および新たな融資先の両方に手数料を支払う必要が生じます。
手数料は融資金額によって異なるものの、一般的には10万円前後の費用が発生します。
借り換えによる手数料を考慮した上で、返済シミュレーションを行い、毎月の返済額の増減も確認しておくことが重要です。
信頼関係の変化に対する配慮
金融機関との良好な関係を築くことは、事業にとって大きなメリットをもたらします。
付き合いの長さが信頼を構築する場合も多いですが、他の金融機関に借り換えを行うことで関係が変わる可能性も考慮しておく必要があります。
新たな取引を検討する場合は、今後の影響を十分に評価してから判断することが推奨されます。
金利や返済期間の検討
借り換えの際には金利や返済期間についても注意が必要です。
返済期間を長く設定すると毎月の返済額は低く抑えられるものの、総返済額は利息分が増えることとなり、結果として負担が増加する可能性があります。
資金繰りが悪化している状況では、返済期間のシミュレーションを行い、自社にとって最も適した借り換えの方法を選択することが求められます。
金融機関別:事業資金の借り換えに関する内容
以下に、金融機関別での事業資金の借り換え方法をご紹介します。
日本政策金融公庫での借り換え
日本政策金融公庫では、「公庫融資借換特例制度」を利用することが可能です。
これは、日本政策金融公庫での既存融資に対し、社会情勢や経済状況の変化などにより資金繰りが厳しくなった場合に利用できる特別な制度です。
この制度を活用すると、既存の融資の返済期限を延長することができ、一定の据置期間を設定することも可能です。
ただし、この借り換え制度は日本政策金融公庫での融資のみが対象で、民間の金融機関からの借り換えは対象外である点に注意が必要です。
銀行での借り換え
銀行での借り換えには、「同一銀行での借り換え」と「他行への借り換え」の2つの方法があります。
現在の銀行で返済期間が長いプランがあればそちらを利用することも選択肢の一つで、状況に応じて金利引き下げを検討してくれる場合もあります。
また、複数の借り入れを一本化できる場合もあり、返済の手間を軽減する効果が期待できます。
ただし、他行での借り換えに際しては信頼関係への影響も考慮する必要がありますので、中長期的な視点で検討することが重要です。
信用保証協会の借換保証制度を利用する
信用保証協会の保証が付いた融資を利用している場合、「借換保証制度」を利用することが可能です。
この制度は、複数の借入をまとめて一本化し、長期的な返済計画を立てることで毎月の負担を軽減することが目的です。
さらに、借り換えに伴い、新たな資金を追加で融資してもらうことも可能です。
ビジネスローンやノンバンクでの借り換え
ビジネスローンやノンバンクの利用も、資金繰りを迅速に改善したい場合には有効な手段です。
融資までの手続きが比較的早いのが特徴ですが、一般的に銀行と比べると金利が高めに設定されています。
事前に返済シミュレーションを行い、総返済額が増加するリスクも視野に入れて利用することが推奨されます。
まとめ
事業資金の借り換えは、返済負担を軽減し、資金繰りの改善を図る手段として有効です。
ただし、借り換えには手数料の発生や、金融機関との関係変化といったデメリットもあるため、十分な検討が求められます。
資金繰りの改善にはファクタリングなどの他の手段も存在するため、最適な方法を検討することが重要です。